ECサイトを構築する際には、デザインの制作や商品登録だけでなく、販売方法の検討、必要な機能の整理、決済・配送の設定など、さまざまな準備が必要です。
これらを十分に整理しないまま制作を進めると、途中で仕様の変更や追加作業が発生することがあります。
この記事では、ECサイトの新規構築やリニューアルを検討している方に向けて、準備から公開までの進め方と、各工程で押さえておきたいポイントを解説します。
ECサイト構築の全体的な流れ
ECサイトの構築は、大きく分けて次の7つの工程で進めます。
- ECサイトの目的と販売方針を整理する
- 必要な機能と要件を整理する
- ECプラットフォームと構築方法を選ぶ
- サイト構成とデザインを設計する
- 商品情報を準備し、サイトを構築する
- 動作確認と公開準備を行う
- 公開後の運用と改善を進める
実際には、すべての工程が明確に分かれているわけではありません。必要な機能を検討しながらプラットフォームを比較したり、デザインの制作と並行して商品情報を準備したりすることもあります。
大切なのは、制作に着手する前に販売方法や必要な機能など、構築方法に影響する条件を整理しておくことです。
また、制作会社に依頼する場合でも、すべての判断を任せられるわけではありません。商品価格や送料、返品条件などの事業上のルールは、事業者が主体となって決める必要があります。
ECサイトの目的と販売方針を整理する
最初に、ECサイトを通じて何を実現したいのかを明確にします。
例えば、新たな販路の開拓による売上の拡大、既存顧客のリピート購入の促進、実店舗に依存しない収益基盤の構築など、ECサイトを立ち上げる目的は事業によって異なります。
その上で、誰に、どのような商品を、どのような方法で販売するのかを整理していきます。
この段階で確認しておきたいのは、主に次の事項です。
- ECサイトを立ち上げる目的
- 販売する商品と想定する顧客
- 通常販売・定期購入などの販売方法
- 集客方法の方針
- 構築に使える予算と公開希望時期
- 公開後の運営担当者
特に販売方法は、その後のプラットフォーム選定や機能設計に関わります。
例えば、一般的な単品販売と定期購入では、必要となる機能が異なります。定期購入を行う予定があるなら、その仕組みに対応できるかを早い段階で確認しておく必要があります。
予算や公開時期についても、初めから正確な金額や日程を確定する必要はありません。ただし、おおよその希望条件が分かっていれば、実現可能な構築方法を検討しやすくなります。
必要な機能と要件を整理する
販売方針を踏まえて、ECサイトにどのような機能が必要かを整理します。
ここで重要なのは、商品名や商品画像などの詳細情報をすべて確定させることではありません。まずは、どのような商品を、どのような仕組みで販売するのかを把握することが目的です。
商品の種類と販売方法
例えば、衣料品であればサイズやカラーごとの選択機能が必要になるでしょう。
また、複数の商品を組み合わせて販売する場合でも、あらかじめ決められたセット商品を販売するのか、購入者が自由に組み合わせを選べるようにするのかによって、必要な仕組みは異なります。
こうした販売方法の違いは、商品ページの設計や在庫管理にも影響します。
この段階では、具体的な商品データが完成していなくても、商品のおおよその点数や種類、必要な販売機能が分かれば検討を進められます。
決済・配送・在庫管理
決済方法や配送条件も、プラットフォーム選定に関わる重要な要件です。
例えば、次のような内容を確認します。
- クレジットカード以外に必要な決済方法はあるか
- 購入金額や配送先によって送料を変更するか
- 商品によって配送方法を分ける必要があるか
- 実店舗とECサイトで在庫を共有するか
- 既存の受注管理システムや在庫管理システムと連携するか
特に、複雑な送料計算や外部システムとの連携が必要な場合は、実現方法を早い段階で確認しておくことが重要です。
必要な機能に優先順位を付ける
希望する機能をすべて最初から実装する必要はありません。
公開時点で必須となる機能と、運営を始めてから追加を検討できる機能に分けておくと、予算や制作期間を調整しやすくなります。
ただし、後から追加する場合に大幅な改修が必要となる機能もあります。将来的に導入したい機能についても、この段階で候補に挙げておくとよいでしょう。
ECプラットフォームと構築方法を選ぶ
必要な機能や要件を整理したら、それらを実現できるECプラットフォームを検討します。
ECサイトの構築方法には、ShopifyやBASEなどのサービスを利用する方法のほか、独自にシステムを開発する方法などがあります。
プラットフォームを選ぶ際には、初期費用や月額料金だけでなく、次の点も比較することが重要です。
- 必要な販売機能に対応できるか
- 標準機能で足りない部分を追加できるか
- 日常的な商品登録や受注管理を行いやすいか
- 外部システムとの連携に対応できるか
- 今後の事業展開に合わせて機能を拡張できるか
- 構築費用と運用費用が予算に収まるか
希望する機能が標準で用意されていなくても、追加アプリや個別のカスタマイズで実現できる場合があります。一方で、プラットフォームの仕様によっては、実現が難しかったり、想定以上の開発費用が必要になったりすることもあります。
そのため、必要な機能に対応しているかだけでなく、どのような方法と費用で実現できるのかまで確認することが大切です。この確認によって要件を見直すこともあります。
また、ECサイトの規模だけでプラットフォームを判断することは適切ではありません。取扱商品が少なくても複雑な販売方法が必要な場合もあれば、多くの商品を比較的シンプルな仕組みで販売する場合もあります。
自社の販売方針や必要機能、予算、将来の計画を踏まえて選定しましょう。
関連記事:ShopifyとBASE、どちらを選ぶ?費用・機能・将来性から考えるネットショップの選び方
サイト構成とデザインを設計する
プラットフォームと構築方法が決まったら、サイトの構成やデザインを具体的に設計します。
ECサイトでは、見た目の印象だけでなく、訪問者が商品を探し、内容を確認して、購入するまでの使いやすさが重要です。また、必要な機能を実現できることや、公開後に運用しやすいことも考慮する必要があります。
必要なページと購入までの導線を考える
まずは、サイトに必要なページと、それぞれの役割を整理します。
一般的なECサイトでは、トップページ、商品一覧、商品詳細、カート、お問い合わせなどのページが必要になります。取り扱う商品によっては、ブランド紹介、商品の選び方、よくある質問などのページを設けることも考えられます。
ここで重要なのは、ページを増やすことではなく、訪問者が必要な情報に迷わずたどり着ける構成にすることです。
例えば、サイズ選びが重要な商品であれば、商品ページからサイズガイドを確認できるようにするなど、購入時の疑問を解消する導線が役立ちます。
デザインの実現可能性と運用方法を確認する
デザインを検討する際には、採用したプラットフォームやテーマの仕様も確認する必要があります。
例えば、商品ページに独自の選択機能を設けたい場合、標準機能で対応できるのか、追加の開発が必要なのかによって制作方法が変わります。こうした確認をせずにデザインを確定すると、制作段階で仕様の変更や追加費用が発生することもあります。
また、デザイン上は実現できても、実装方法によっては公開後に事業者自身が簡単に更新できるとは限りません。頻繁に変更するバナーや文章などは、管理画面から編集できる仕組みにしておくことで、更新のたびに制作会社へ依頼する負担を減らせます。
購入しやすさ、実現可能性、運用しやすさの3つを考慮して設計することが大切です。
商品情報を準備し、サイトを構築する
サイトの設計を進めながら、デザインの実装や機能設定、商品登録に必要な情報の準備を行います。制作会社による構築と事業者による情報の準備は、並行して進めることもあります。
商品情報の準備
商品登録には、一般的に次のような情報が必要です。
- 商品名
- 商品説明文
- 商品画像
- 販売価格
- サイズやカラーなどのバリエーション
- 商品管理番号(SKU)
- 在庫数(在庫管理を行う場合)
プラットフォームによって必要なデータ形式や登録方法は異なります。
商品数が多い場合は、CSVファイルなどを利用して一括登録する方法もあります。制作会社に依頼する場合は、どのような形式で商品情報を用意すればよいか、事前に確認しておくとスムーズです。
決済・配送などの各種設定
商品情報の登録と合わせて、決済方法や送料、配送方法、税金などの設定を行います。
この段階では、要件整理の際に検討した販売条件を、実際のECサイトの設定に反映させます。
例えば「一定金額以上の購入で送料無料にする」という方針であれば、対象となる注文金額や配送地域、適用条件などを具体的に設定する必要があります。
また、注文確認メールや発送通知など、購入後に顧客へ送る案内も整備します。
必要な表記やポリシーを整備する
ECサイトでは、取引内容に応じて、法令上必要な表示や顧客に案内する情報を準備します。
日本国内の通信販売では、特定商取引法に基づき、販売価格や送料、支払方法、引渡時期、返品条件、事業者情報など、所定の事項を表示する必要があります。また、注文の最終確認画面にも、法令上求められる事項を適切に表示しなければなりません。
個人情報については、利用目的の通知・公表など、個人情報保護法に沿った対応が必要です。プライバシーポリシーなどを通じて、顧客が取扱いを確認できるようにしておきましょう。
制作会社がページを作成する場合でも、販売条件や事業者情報の内容は、事業者が主体となって決定・確認する必要があります。
参考:個人情報保護委員会・個人情報保護法ガイドライン(通則編)
動作確認と公開準備を行う
サイトの制作が完了したら、公開前に必要な確認を行います。
ECサイトの場合、ページが正しく表示されているだけでは十分ではありません。商品を選んで購入し、注文情報が登録され、発送などの業務につながるまで、一連の流れを確認する必要があります。
実際の購入を想定してテストする
代表的な確認項目には、次のようなものがあります。
- 商品をカートに追加・削除できるか
- 商品の種類や数量によって金額が正しく変わるか
- 送料や割引が設定どおりに適用されるか
- 決済処理が正常に完了するか
- 在庫管理を行う商品の在庫数が、注文後に正しく更新されるか
- 注文確認メールが適切に送信されるか
- スマートフォンでも表示に問題がないか
例えば、一定金額以上で送料無料になる設定では、条件を満たす注文だけでなく、条件に満たない注文でも送料が正しく計算されるか確認します。
想定どおりに購入できるケースだけでなく、条件の境界や購入できないケースも確かめることが重要です。
運営業務と公開時の設定を確認する
制作会社に依頼して制作する場合、制作会社が動作確認を行っていても、事業者側で実際の受注対応を確認しておくことをおすすめします。
注文情報の確認、発送処理、キャンセル、返金など、日常的に発生する操作を把握しておくことで、公開後の対応を進めやすくなります。
また、独自ドメインの接続、問い合わせ先の確認、必要なページの公開状態、アクセス解析の設定なども確認しておきます。
既存ECサイトからのリニューアルでは、商品や顧客データなどの移行に加え、URLが変わる場合の転送設定も検討が必要です。
参考:Shopify公式・新しいストアを開設するための一般的なチェックリスト
公開後の運用と改善を進める
ECサイトは、公開した時点で完成というわけではありません。
運営を始めると、商品情報の更新、受注・発送管理、顧客からの問い合わせ対応など、日常的な業務が発生します。また、実際の利用状況から、制作段階では分からなかった改善点が見つかることもあります。
例えば、商品ページへのアクセスは多いものの購入につながっていない場合、商品説明が十分か、送料などの条件が分かりやすいか、購入操作に問題がないかといった点を確認することが考えられます。
ただし、購入につながらない原因は一つとは限りません。アクセス数や購入率などのデータを確認しながら、仮説を立てて改善していくことが重要です。
公開後の更新や機能追加をどこまで自社で対応するのか、制作会社に依頼するのかについても、あらかじめ整理しておくとよいでしょう。
まとめ|ECサイト構築は事前準備が重要
ECサイトを構築する際には、最初からデザインや細かな商品情報をすべて決める必要はありません。
まずは、何をどのように販売したいのかを整理し、それを実現するために必要な機能や条件を明確にすることが大切です。
その上で、プラットフォームの選定、サイト設計、制作、動作確認へと進めることで、構築途中の手戻りを減らしやすくなります。
また、制作会社に依頼する場合も、事業者側で決めるべき販売条件や運用方針を整理しておくことで、双方が共通認識を持ってプロジェクトを進められます。
ECサイトの構築は、サイトを作ることだけが目的ではありません。公開後も無理なく運営し、事業の成長に合わせて改善できる仕組みを整えることが重要です。
TODOKELは、ECサイト構築に対応しています。お困りのことがございましたら、お問い合わせからご相談ください。
